「亡食の時代」

 産経新聞に平成18年の1月から11月まで連載されていた同名のコラムに加筆しまとめたもので、今年の3月に出版された本です。

 本の帯にも「「食」が「食」でなくなりつつある衝撃のレポート!」とあるように、現代日本の「食」の問題点というか現実が実例を挙げて書かれています。以下、本書の内容から・・・

・「おコメや野菜をきれいに洗うために洗剤を使った」という女子大生
・「臭いぬか漬けなんて子供に食べさせないで」と先生に文句を言った若い母親
・どんな料理にもデコレーションケーキの生クリームのようにマヨネーズをかけるOL
・ひとりで、冷や飯に味噌汁をかけ、ねこまんまにして食べる孤独な年寄り
・クッキー状の栄養食、ゼリー状のサプリメントしか食べないサラリーマン

などなど・・・

 日本が戦後の食糧難の時代から、高度成長期を経て「飽食の時代」などと言われた時代が懐かしいとさえ思えるほどの内容でした。

 「食」に関する「常識」が失われていくことが健康問題だけでなく、国家そのものまでおかしくなっていくという事に警鐘をならす内容になっていますが、何が正しくて何が間違っているのかという事に対して基準というものが喪失しているところに、様々な健康情報が氾濫していてますます何が何だかわからなくなっているという事だと思います。

 「食」に関して言えることは、先祖代々の食事内容に適した体をもっている者だけが淘汰されずにきたという絶対的な事実を考えると、伝統的な食事を摂ると言うことがその民族にとっては最も理にかなっていると思いますが、「伝統的な食事」と言われても想像すらつかない人が増えてきているというのは恐ろしさを感じざるを得ません。

(書籍データ?「亡食の時代」 産経新聞「食」取材班、発行:産経新聞社、発売:扶桑社、   定価700円(本体)、ISBN978-4-594-05309-3)

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