口が“かわく”と“ねばる”の違い

  これから気温が上昇してくると、冷たいものを摂る機会が増えてきます。暑い時期には、冷蔵庫から出したてのものや氷の入った飲み物を飲むことが普通のことになっていますが、考えてみれば、人類の誕生からほんの数十年前まで、暑い時期に手軽に冷たいものを飲むことはできませんでした。つまり、現代人のように日常的に冷たいものを胃腸に流し込むというのは人類史上初めての経験といっても過言ではありません。

  さて、そういった冷たい飲み物を日常的に飲んでいると、胃腸が冷やされて水分代謝に問題が生じ、体内に余分な水分や湿気がこもってしまうと漢方では考えられています。こういった不要な水分や湿気を古い言い方で水毒と呼びますが、頭重感やめまい、むくみ、下痢などといった症状から、動悸や不安神経症の原因となることもあるとされています(尤も、昔は冷たいものといっても、今で言う常温のものでも冷たいものであり、正確に言うと冷(さ)めたもの=熱くないものは、すべて冷たいものとされていました。現代人ほど冷たいものを日常的に摂ることは想定外で、胃腸にとっては相当なダメージとなります)。

 また、体内に余分な水分が溜まってくると、舌の上の苔が分厚くなりますが、同時に口の中に粘りを感じることが多くなってきます。この粘った感じが不快であったり、“渇いている”と感じることで、更に冷たいものが欲しくなって飲む→苔が分厚くなる→粘るという悪循環に陥りやすくなり、結果的に水毒の症状が発生しやすくなります。このようなケースでは、冷たい水で口をゆすぐだけで粘り感が消えますし、ミント系の清涼剤などを使うのもお勧めですが、冷たい飲み物は一時的にすっきりするだけで、体内に余分な湿気や水分が溜まっていき水毒症状を発症しやすくなるので要注意です。

 尚、体の水分が不足がちになって口の中が粘るケースもあります。高齢者や陰虚体質の方に多いですが、そういった場合は舌の上の苔があまりついていないことが多く、こういった場合は、水分を補給すべきですが、おなかを冷やすと免疫力や栄養分の消化吸収力にも悪影響を与えますので、できるだけ温かいものを摂るようにすべきです。

 

 

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