2009年度学校保健統計調査速報

 日経新聞の報道によりますと、昨年末に文部科学省が発表した2009年度学校保健統計調査速報によると、鼻炎など鼻に疾患がある児童生徒の割合が小学校で12.6%、高校で9.6%などと、過去最高となったそうです。鼻や副鼻腔疾患の割合は1995年から上昇が続いているほか、喘息の割合も増加しており、今回の調査速報によると小学校で4.0%、高校で1.9%で、やはり過去最高であったそうです。

 一方、この調査では開始以来初めて肥満の子どもが全年齢で減少したと読売新聞が伝えています。5~17歳を対象に70万人を調査した結果だそうですが、肥満の子どもが減少しているだけなら喜ばしいことかもしれませんが、やせ気味の子どもが増える傾向にあるとのことです。また、裸眼視力が0.3に満たない小学生の割合が7.3%と過去最多を記録したそうです(因みに高校生で裸眼視力が0.3に満たないのは27.67%)。

 これまでにも、花粉症などのアレルギー疾患の増加など日本の子どもの健康状態は悪化し続けていることや、大人の世界ではメタボが話題になるものの子ども達の間では栄養状態が悪化してきていること(「ここがおかしい日本人の栄養の常識」参照)を紹介してきましたが、今回の調査結果は依然としてそういった趨勢が続いていることを示していると思います。

 もちろん、子ども達の間でそうならば、大人になれば解決するというものでもなく、今や国民病とまで言われるようになった花粉症の増大や、日本人女性の肥満度が10代後半から20代にかけて減少傾向が見られる事や、骨密度の低下傾向など多くのデータが同じ方向~日本人の弱体化=“若腎虚”の増加~を示しています。また、環境汚染がアレルギー疾患の原因とかテレビゲームが視力低下につながるとか、経済的理由からやせ傾向といった単純な図式で解説されることが多いですが、日本では「食」と「胃腸機能の低下」といった問題が根本的な原因であると思います(→日本人のための食養生 参照)。

 

 

 

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