山菜の細麺

  漢方のバイブルの一つである約2000年前に書かれた黄帝内経には、春を「発陳」というとあります。これは、天の陽気がだんだんと暖かくなるとともに、地の陰気も活「発」になり、大地を覆っていた「陳」(「古い」の意)なるものを押しのけて、新たに植物が生長を始めるということです。

 この時期に出まわる山菜の類は、正に生命力にあふれた植物の新芽でもあり、春らしい食材と言えます。ただし、山菜で難しいのは、アクを抜きつつも色鮮やかに下ごしらえをすることです。

 このお店のマスターによると、中華料理の世界に入った時に師匠からまず教わったのが「先天須知」という言葉だそうです。これは、「隋園食単」という清朝の時代の書物に載っている言葉で、食材の天性をよく知って調理しなければならないという意味だそうです。即ち、ひとつひとつの素材に応じて、丁寧に下ごしらえをすることが重要だということです。

 そんな手間も時間もかける代わりに、鮮度保持剤のプールに泳がされたカット野菜や、脱色剤で色を抜いてから着色料で色づけされた加工食品、いつまでも腐らないポストハーベスト漬けの果物などに囲まれているのが現代社会です。

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