焼味飯

201010  香港の伝統的ファーストフードとでもいえる焼味飯(シゥメィファン:広東語)です。

 もともと広東料理は焼き物が得意で、レストランのガラス越しにローストしたアヒル、ガチョウ、ハト、子豚などが客に見えるように吊り下げられている光景を目にしますが、そういった焼き物をご飯の上に載せ、香辛料のきいた甘辛いタレをふりかけた料理です。

 写真はアヒル(家鴨)をローストしたものが香米(タイ米)の上に載っかっています。タイ米は日本では毛嫌いされる方が多いですが、上質のものはジャスミンライスとも称され、文字通り香ばしい香りがして、香辛料のきいたタレとの相性も抜群です。

 ところで日本人に欠かせないお米ですが、ここ半世紀ほどの一人あたりの年間消費量でいうと120kg弱だった1962年以降、一貫して減少を続けており、直近では60kgを割り込んでいると言われています。もともと、1石という単位は1人が1年間に食べる米の量を基準にしたそうで150kgに相当し、戦前までは(混乱期をのぞいては)150kg近い消費量が続いていたとされていますので、この半世紀ほどの日本は“人類史上、例を見ないほどの早さで一国の国民の食生活が激変した”と言われるだけのことはあります。

 原因として、食事の欧米化に伴って、米の代わりに小麦(=パン食)を食べるようになったからと言われますが、小麦の消費量に関しては、統計的には1960年で25kg程度(一人あたりの年間消費量)だったものが2007年で32kg程度で、米の消費量が60kgも減少した割には小麦は10kgも増えていません。ただし、この間、油脂類と畜産品の消費量は大幅に増えており、つまるところ食の欧米化の本質は、米を食べなくなって肉類や油の摂取量が大幅に増大したことにあります。

 この変化を薬膳的に考えると、胃腸の機能を補う作用のある穀物類の消費が減って、胃腸に負担となる(専門的には“厚膩の品”と言います)肉や油の摂取量が増えたわけで、日本人の胃腸機能が1960年代以降、低下し続けているような気がします。食の欧米化に関しては生活習慣病との関連が指摘されることが多いですが、漢方的に見れば、胃腸機能の低下は、免疫の低下につながり、花粉症やアレルギー疾患の増大の原因となるばかりか、一言で言えば“ひよわ”になっていきます。

 

 

 

 

 

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