タケノコの香味焼き

100324  タケノコにワラビをたたいてペースト状にしたものと、四川の青山椒を載せてローストしたものです。

 タケノコは言うまでもなく春が“旬”ですが、“旬”とはそもそも甲(きのえ)、乙(きのと)、丙(ひのえ)から癸(みずのと)までの10日間を指し、10日間で竹に成長することから“旬”に“たけかんむり”で筍(タケノコ)という字になります。

 明治になって西洋の栄養学が導入されてから、食材に関して栄養成分ばかりが注目されるようになりましたが、本来、東洋的な考え方では食べものには“血”や“精”のもととなる栄養素は勿論ですが、それ以外にも“気”が含まれていると考えられてきました。また、成長力が旺盛な部位ほど「気」が多く宿っていると考えられることから、タケノコのように成長力に富んだ食材を食べることは、大いに“気”を補うことにつながるとして好まれてきました。

 現代では、そういった伝統が失われ、食材は栄養素こそ総てであるという考え方が蔓延した結果、加工食品は言うに及ばず、農薬や化学肥料を使って栽培された野菜や収穫後長時間かけて海外から輸入されたもの、あるいは予め工場でカットされて袋詰めにされた野菜を食べることに何の抵抗も問題意識もなくなってしまっているように思います。

 結果的に、食べものに含まれる大地と太陽から得られる“気”の摂取量がどんどん減少し、日本人の多くが漢方でいう“気虚”の状態になってきていると感じます。“気虚”というと難しそうですが、かぜを引きやすくなるとか、花粉のようなものに反応してくしゃみや鼻水が出る花粉症なども“気虚”の典型的な症状で、もっと簡単に言うと自己治癒力の低下とも言えます。

 

 

 

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