荊芥連翹湯

漢方処方解説(9)~荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

 この処方は、「補血」と軽い「活血」作用のある四物湯に、「清熱解毒作用」のある黄連解毒湯をベースに、「去風」作用のある薬味などを加えた構成になっています。もともと明の時代の「万病回春」の「鼻病門」に収載されていた処方を元に日本の経験方として古くから用いられてきた処方です。

 「顔色が浅黒く、手足の裏に汗をかきやすいような人で、皮膚や鼻に慢性の炎症をもつか、繰り返して炎症をおこす人」というのが使用目標になります。

 昔は、子どもの蓄膿などに用いられることが多かったのですが、最近は若い人のにきびや、花粉症で鼻の粘膜の炎症が強く、空気の通り道が狭くなって息がしにくいというタイプに用いられることが多くなっています。

 荊芥連翹湯の現代日本に於ける効能としては「蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび」などとなっていますが、鼻やのど、皮膚はいずれも呼吸に関わるところで五臓六腑の「肺」にあたり、別の見方をすると外界に直接接している場所でもあり、その部分に慢性的な炎症を持った病態に用いられます。

 昔は体質面(一貫堂医学でいう“解毒証体質”)の改善を目的として用いられることが多かったのですが、現代日本人の特徴として、皮膚や粘膜を守るバリア(=衛気)が不足している方が多く、それゆえ外界からの刺激を容易に受け、鼻や皮膚に炎症が生じやすくなってきており、そういった意味では現代では対症療法的に用いる割合が多くなってきているように思います。

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