防風通聖散

漢方処方解説(1)~防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

 ここ最近、メタボリック関連で内臓脂肪が減るなどと宣伝され売り上げが急増している処方です。

 日本で認められている効能としては「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症」として「肥満症、便秘、高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、むくみ」などとなっており、メタボ対策に効果的な処方となるわけですが、この処方に限らず漢方薬は誰がのんでも効能通りの効果が得られるかというと、全くそうではなく、あくまで体質的に合っていなければ効能通りの効果は期待できません。

 では、どういった体質の人なら効果があらわれるのかというと、「腹部に皮下脂肪が多く、便秘がち」なだけでなく、簡単に言えば、堅太りタイプで、のぼせ症で、身体の芯に熱がこもっているような人です。よって、女性に多くみられる、冷え症でぽっちゃり型の肥満の方は、「皮下脂肪が多く便秘がち」でも防風通聖散は合いません。

 そもそもこの防風通聖散という処方は、中国の宋の時代の医書「宣明論」に載っている処方ですが、原典によると「普段から暑がりでのぼせ症の人が、かぜを引いてますます体内に熱がこもり、目の充血やのどの痛み、口の渇きや便秘、咳や痰、胸苦しいなどの症状を呈した時」に用いる処方とされています。

 その後、かぜを引かなくても、のぼせ症で便秘がちな人の体質改善薬としても用いられてきましたが、いずれにしてもがっちりした体格でのぼせ症の方の余分な熱を便から外に出すというのが処方の意味ですので、繰り返しになりますが普段から冷え症の方や、ぽっちゃり型の肥満の方、あるいは平熱が低いような方には合いません。

 ここまで書くと、「では、メーカーはなぜ誰でも効くように宣伝するのか?」という疑問が出ると思いますが、日本では厚生労働省が認めた効能である以上、宣伝することに違法性はないことになっています。新薬なんかでも100%の人に効くわけではないし、それと同じ事でしょうというわけです。

 そうは言っても、これまで良識のある漢方メーカーなどは、そのような宣伝の仕方を控えてきたわけですが、ここへきて新規参入してきたところが「違法でない以上、売れれば良い」というポリシーのもとテレビCMを流して売り上げを伸ばしているわけです。

 聞くところによると、こういったメーカーには宣伝を見て買ったけど効果がないといったクレームが多く寄せられているとのことですが、効果がないだけですんでいたらまだしも・・・・・

 いずれにせよ、漢方的にはぞっとさせられますし、医薬品メーカーとしてのモラルの低さに呆れさせられます。

関連記事

  1. 参蘇飲(じんそいん)

  2. 麻黄附子細辛湯

  3. かっ香正気散

  4. 銀翹散

  5. 荊芥連翹湯

  6. 葛根湯