麻黄湯

漢方処方解説(11)~麻黄湯(まおうとう)

 葛根湯と同じく、約2000年前に記された「傷寒論」を出典とするかぜの初期に用いられる有名な処方で、日本に於ける適応症は「かぜの引きはじめで、寒けがして発熱、頭痛があり、身体のふしぶしが痛い場合の感冒、鼻かぜ」などとなっており、医療用での適応症には「インフルエンザの初期」と明記されているものもあります。昨今の新型インフルエンザの流行に伴って、インフルエンザに効く漢方薬として報道されている処方です。

 ただし誰が服用してもインフルエンザに効果があるのかというとそうではなく、麻黄湯はあくまで普段、体力が充実している人のかぜやインフルエンザの初期で、発熱していても発汗がみられない時に用いられ、普段から身体が弱い方や、お年寄りなどには基本的に用いられません。

 また、麻黄湯が直接ウイルスをやっつけるわけではなく、適切な人適切なタイミングで服用した場合に、身体の抵抗力を高めることでウイルスを不活性化するものです。また、発熱や悪寒、頭痛などを感じたら間髪をおかずに服用すべきで、早く飲めば飲むほど効果が期待できます。

 では、普段から体力が充実していると言えない場合、あるいは体力がある人でもインフルエンザを発病してからのどの痛みが強いなどの自覚症状がある場合は麻黄湯よりも銀翹散などの処方の方が効果が期待できます。繰り返しになりますが、麻黄湯だけがインフルエンザに有効というわけではなく、漢方の考え方では、あくまでその方の体質と、発病後の自覚症状により適切な処方が決まるということです。

 

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