腰痛の原因は“こころ”の痛み?

 先日、NHKの番組でも取りあげられていましたが、厚生労働省の研究班の調査によると日本の腰痛患者は2800万人にのぼり、そのうち8割以上が整形外科的な診断では原因不明だそうです。

 また、腰痛に悩んでいない成人の7割以上で椎間板にずれ(ヘルニア)が見つかっているものの、殆どの人に痛みの自覚がないそうで、背骨が多少ずれているからといって痛みを感じないことの方が多いとのことです。

 さて、原因不明の腰痛に悩む人では、痛みの制御に関わる脳の側坐核という部分の働きが低下していることが解明され、その要因としては心理的なストレスとのことです。ストレス→側坐核の機能低下→痛みを強く感じる→そのことがストレスとなる→側坐核の機能低下という悪循環などにより難治性の腰痛となっていくようです。このため整形外科学会なども腰痛治療に心療内科的などとの連携を提言しているそうです。

 漢方の考え方では、背骨が多少ずれていてもそこに“気”が流れていれば痛まないという考え方をします。そもそも漢方では、痛みとは“気”の流れが遮断されて発生すると考えますが、ストレスは“気”の流れを停滞させて、胸や脇の張り、ゲップ、肩こりなどの症状に繋がり、腰痛に限らずからだの痛みを増悪させますので、今回の新たな腰痛に関する知見は漢方的に見ても理にかなっているように思います。

 尚、これまでも疼痛閾値(痛みの閾値)といって痛みの感覚はその人の精神状態によって大きく異なる事が知られていましたが、今回の新たな知見はこの考え方の理論的な根拠の一つになると思います。

 特に腰や関節など、骨の周りにそれを支える筋肉がまとっている場合は、筋肉の柔軟性なども痛みに関与すると思われますが、漢方では筋肉をなめらかに動くようにコントロールしているのは五臓の“肝”とされ、その“肝”が同時に全身の気血の流れをコントロールしていることになっています。また、ストレスに関していえば、自分ではどうしようもないことに対してイライラするというタイプのストレスは直接“肝”に影響して気血の流れと筋肉の伸縮に悪影響を与えるとされています。

 よって、ストレスが元になって筋肉も硬くなり腰が痛くなる事は十分に考えられますが、痛みの原因としては冷え(寒邪)や湿気(湿邪)のほか、淤血や痰湿なども“気”の流れを邪魔して痛みを発生させますので、総ての腰痛や痛みがストレスだけが原因で発症するわけでもないと思います。いずれにせよ“気”の流れを良くすることがストレス性疾患や痛みの疾患を軽減することは間違いありません。

 

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