青い春の“木の芽時”

 立春も、旧暦の正月も過ぎ、木々が芽吹き出しました。昔から、この時期のことを“木の芽時”と言いますが、暗に自律神経が乱れやすい時期というニュアンスを含んだ言葉としても使われます。

 漢方的というか五行説によれば、「春」は「木」であり、五臓では自律神経と関係が深く、全身の気血の流れをコントロールしている「肝」になります。因みに、色は「青」(「青春」という言葉はここからきています)で、方角は「東」(東の守り神は「青龍」)、情志(五志)は「怒」です。

 よって、春は木が芽吹くように、冬の間、じっと寒さに耐えてきた肝気が動き出す季節とされ、この時、ストレス(特に「怒」というタイプのストレス。“怒”とい字の本来の意味は“奴”隷の“心”で、自分ではどうしようもないことに対してイライラするというタイプのストレス)を受けていたりすると、気の流れが乱れやすくなり、さまざまな症状が顕在化しやすくなります。

 例を挙げれば、イライラしやすくなったり、何もする気がしなくなったり、やたらため息が出るといった神経症状の他、ゲップやガス、おなかが張って苦しくなる、便通の異常、肩こりやこむら返り、目が疲れやすくなる、まぶたや目の周囲の筋肉がぴくぴく震える、手足の末端だけ冷える、女性であれば生理前の胸や脇の張り、生理痛が強くなるといったものから、血圧の変動が大きくなったり、高音性の耳鳴り、夢ばっかり見ていてぐっすり眠れないといった睡眠障害なども発生しやすくなります。

 特に普段から貧血気味で、肝臓に十分な量の血が貯えられていない方やストレスを強く受けている方は要注意です。

 対策としては、暖かい昼間に緑のある公園を散歩するなど、からだを動かして体内の気の流れが滞らないようにする(激しいスポーツはダメです)ことや、食べ物で言えば気の流れを良くしてくれる香味野菜やミント系のもの(ミントや薄荷は薬膳的には‘辛い’とされ、発散する作用があるとされています)を摂ると良いようです。

 また、「怒」というタイプのストレスの影響が長引くと、唐辛子やタバスコといった辛いものを好むようになりますが、これらの過度の摂取は体内に余分な熱がこもったり胃腸の調子が悪くなりますので要注意です。ついでに言うと、涙もろくもなってきますが、感情的に涙を流すことはストレスの発散につながりますので、思いっきり泣いた方がスッキリします(これは、漢方では2000年前からの五志相克理論によって正しいとされているほか、西洋医学的にも数十年前に確認されています)。

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