メタボリックシンドローム

週末topics~メタボリックシンドローム

 「メタボリックシンドローム」という言葉、ここ最近よく耳にするようになりました。

 これは、別名かくれ肥満とも呼ばれる内臓脂肪の蓄積によって、高脂血症、高血圧、高血糖などの状態を併せ持つ状態のことで、これらの危険因子が複数存在することで、ひとつひとつは軽症でも、動脈硬化のリスクが飛躍的に高まることが知られています。

 昨年の春には、日本動脈硬化学会などによって、日本に於けるメタボリックシンドロームの診断基準が作成されましたが、内容は

1.ウエストのサイズが
  男性 85cm以上、女性 90cm以上

2.中性脂肪 150mg/dl 以上
  HDLコレステロール(善玉コレステロール) 40mg/dl  未満
  の一方、または両方

3.血圧が 上が130mmHg以上 
  または 下が85mmHg以上

4.血糖値(空腹時血糖値)が 110mg/dl 以上

 上記の診断基準で、1に加えて2?4のうちで2つ以上当てはまる場合をメタボリックシンドロームと呼びます。

 ベースになるのは、1の内臓脂肪の蓄積による腹部肥満で、メタボリックシンドロームの予防には、この内臓脂肪の蓄積を抑える必要があります。

 では、どのような人が内臓脂肪型肥満になるかというと

1.食べるのが早い

2.ついつい食べ過ぎる

3.間食(甘い物)・夜食が多い

4.外食が多い

5.朝食を食べないことが多い
という方で、

1.体重はあまり変わらないのにウエスト周囲が大きくなった

2.体脂肪率が男性25%以上、女性30%以上ある

3.BMI指数が25以上ある
  (BMI指数とは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))

という方は、内臓脂肪が蓄積している可能性が高くなります。また、お酒をよく飲む方も要注意です。

 そもそもメタボリズムというのは代謝という意味ですが、内臓脂肪の蓄積は脂肪肝になりやすく、体の中の化学工場とも呼ばれる肝臓の機能低下が、更なる脂肪の蓄積を生じやすくさせるという悪循環に陥るというパターンが最もよく見られます。

 漢方的に見ても、五臓六腑の「肝」は血管と全身の血流をコントロールしているところとされ、脂肪肝などによる肝機能の異常が動脈硬化を促進させるというのは大いに納得のいくところです。

 さて、それではどうすれば内臓脂肪の蓄積を抑えられるのかというと、食生活の改善と適度な運動というのは言うまでもないのですが、昨年、体の代謝をよくし、内臓脂肪の排泄を促進する注目すべき成分が発見され、ニッカウイスキーによって特許が取得されました。

 その注目成分とは、リンゴの未熟果実から抽出されたリンゴポリフェノールで、肝臓に於ける脂肪分解を促進すると共に小腸に於ける脂肪の吸収を阻害することが確かめられました。

 これまでもリンゴダイエットなど、リンゴはダイエット向きの食品として知られていましたが、薬膳的にもリンゴは化痰作用といって、消化管の水垢のようなものをとって、胃腸機能を高めたり、高血圧に有効であるとされていました。

 今回、リンゴポリフェノールに関する研究から、リンゴの持つ薬膳的な効用が裏付けられたことにもなります。

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