舌表面のよごれ(舌苔)について

 さきごろ、岡山大学の予防歯科学分野の森田教授らの研究グループが、舌の表面のよごれ~舌苔(舌の上にみられる苔のようなもの)の付着面積が大きい人は呼気中のアセトアルデヒド濃度が高いことを突き止めたとの発表がありました。また、口中のアセトアルデヒドは、口腔内のがんの原因になるとのことです。

 漢方では患者さんの舌の状態(色、苔の状態、舌裏静脈の緊張など)を観察しますが、舌の上の苔が多いことは体内で利用されていない余剰な水分の反映とされています。よく言われるのは、水がないと苔は生えないということになりますが、苔が多いからといってすぐに病気に結びつくわけでもありません。また、正常な苔の状態というのは、白く薄くほぼ均等に舌全体に広がっている状態であり、苔がところどころはがれていたり、苔が全くないのも良くないとされています。

 舌の苔が多い状態は、胃腸が弱っていることによる水分代謝異常が原因であることが多く、胃腸は“気”の主な発生源ですので舌の上の苔が分厚い人は気虚とよばれる状態であることが多く、言葉をかえれば免疫力が低下しているともいえ、がんのリスクが高くなると言っていえないことはないです。もっとも、がん以前に、白い苔が分厚い方はからだが重だるい(特に午前中)とか、むくみやすい、しょっちゅう頭が痛くる、便通の状態が安定しないなどの自覚症状がでやすいので、健康診断で異常といわれなくても食養生や漢方薬で体質を改善されたほうが良いのは間違いありません。

 また、舌の苔は歯ブラシやタンクリーナーのようなもので取り除いたとしても、からだの状態の反映として生えているものなので、すぐにもとに戻ります。漢方的に体質を改善していくことで正常とされる薄白苔の状態になっていきますので、舌の上の苔が気になる方は漢方薬局などで相談されることをお勧めします(起きてすぐの時は誰でも舌の上の苔が多少は厚くなりがちです)。

 

 

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