日本女性の肥満度が減少

 毎日新聞の報道によりますと、日本人女性の肥満度=BMI指数が10代後半から20代にかけて減少傾向にあり、他国ではみられない特有の現象であるとの調査結果が筑波大学の菅原研究員らの調査でわかったとのことです。

 一見、ダイエットに悩む方からすればすばらしい情報にも聞こえますが、記事にあるように、決して健康的になったという話しではなく、むしろ不妊やうつ病、骨密度の低下などのリスクが高まる恐れがあると危惧される内容です。

 こういった10代後半から20代の日本人女性の「やせ」傾向は1950年代以降に生まれた女性からその傾向が見られたとのことですが、理由としては単純に「やせ願望」に基づくものとは言えないようです。

 中高年がメタボに悩んでいる一方で、若い人達の間で栄養状態の悪化が進んでいるというのは以前からも指摘されていました(「ここがおかしい日本人の栄養の常識」参照)が、今回の調査結果はそういった現状を裏付けるものとなっています。

 ここ数年の間に発表された様々な調査データから、漢方的にみて日本の若い世代に若腎虚(わかじんきょ)とよばれるような早期の老化現象がみられることも指摘されていますが、その最大の要因は「飲食の不摂生」と「胃腸機能低下」だと思います。

 今の10代後半から20代の女性にとって、本来の食事というものがわかっていない現状があるようで、実際に女子大生の毎日の食事の内容をデジカメで撮影してもらって調査した結果などをみても、中年以上の世代の人には想像もできない「食の崩壊」現象が進行しています(ご興味のある方は「食卓の向こう側」をお読み下さい)。また、学校の教育現場の人達の意見では、その兆候は小学生にもあらわれており(「亡食の時代」参照)、成長期だけにBMI値は低下しなくても、体力の低下や低体温、すぐに骨折する子ども達は年々増加しています。

 人間が健康でいるためには「養生」というものが必要ですが、若い人達の間で食養生や薬膳といったこと以前の1日3食食べるとか、ごはんとおかずを食べるといった「当たり前のこと」が当たり前でなくなっており、そういった人達が30代を過ぎる頃には不妊症やアレルギー疾患をはじめ骨密度の低下による腰痛なども増加するのは間違いがないと思います。また、「養生」部分が欠落している場合には、薬も効果があまり期待できないか、副作用のリスクが普通以上に高くなることも予想されます。

 

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