百日咳にご用心

 朝日新聞の報道によると、子どもの病気のように思われている百日咳にかかる大人の割合がここ10年ほどで急増し、国立感染症研究所のまとめでは今年は、ついに患者に占める大人の割合が50%を突破し、20歳未満を逆転したそうです(2000年は、大人の割合は僅かに2.2%)。また、同研究所によると、大人が百日咳にかかっても咳が長引くものの重症化することは少ないそうですが、感染力が強いために早めの受診を呼びかけているそうです。

 百日咳は百日咳菌によって発症し、名前の通りいつまでも空咳が続くのが特徴ですが、最初は細菌感染によって咳がでるものの、途中からは自分のした咳によってのどの粘膜などが空気摩擦でカラカラになって過敏になり、ちょっとしたことでまた咳が出るという悪循環に陥ります。これは百日咳でなくても、かぜを引いた後にいつまでも咳だけが残るケースと同じで、新薬の咳止めでは効果があまり期待できません(のどや気管支の粘膜を“潤す”という発想そのものが存在しません)。

 漢方では、こういったケースでは五臓六腑の「肺」が乾燥することで発生する空咳ととらえて、「肺」を潤す作用のある処方で対応します。「肺」はもともと嬌臓ともよばれ、簡単に言えば五臓の中でもっともか弱いとされている上に、環境面では特に乾燥に弱く、昔から乾燥による肺の状態を回復させる効果のある生薬や処方は数多くありますし、このタイプの空咳には即効性があります。

  尚、百日咳の予防には「衛気(えき)」とよばれる皮膚や粘膜を防御するバリアのようなものをしっかり維持することと、インフルエンザの予防などに効果があるといわれる生薬の煎じ液でうがいをすることなどが有効です。

 

関連記事

  1. 梅雨時の湿気の影響

  2. 緑黄色野菜の大腸がん抑制効果

  3. 寒くなるとトイレが近くなるのはなぜ?

  4. サフランに大腸がん抑制効果

  5. 春に吹く風に震えるまぶた

  6. 2009年度学校保健統計調査速報