腸の話し

わかりやすい漢方講座(39)~腸の話し

 漢方の考え方の基本に「脾は後天の本」という言葉があって、先天的に問題なくこの世に生まれてきた以上、生きていく上では「脾」=「胃腸」が一番大事ですよという意味です。

 人間に限らず、動物は皆、食べ物を食べて生きていけるわけですが、胃腸がちゃんと働かないと栄養の吸収や代謝がうまく機能せず、さまざまな問題がでてきます。

 この胃腸の機能に影響を与える因子としては、食べ物そのものの問題のほか、環境の問題やストレスの問題などさまざまな因子がありますが、今回は「こころ」と腸の関係について考えてみたいと思います。

 漢方では、五臓六腑の関係の中で「心」と「小腸」は裏表の関係になります。漢方で言う「心」の臓は、西洋医学と同じように血液を全身に送り出すポンプ作用の他に、「こころ」即ち、精神神経作用をコントロールする働きがあると考えられています。

 さて、その「心」と関連の深い「小腸」ですが、近年西洋医学で画期的な発見がされました。それは、腸は脳とは独立して、本能的な情動を発信しており、第2の脳とも言えるというものです。

 ストレスが腸管の異常~下痢や便秘を繰り返すことと関連性がある事はよく知られていますし、小腸はまた、人間の免疫システムにも深く関与していることも知られています(小腸は胃や大腸に比べて、圧倒的にガンになりにくい)。

 特に最近では、腸内細菌バランスを整えると花粉症やアトピーが良くなるとか、免疫力が高まるという事で、乳酸菌の入った飲料やヨーグルトなどがブームになっていますが、腸が単に「腸内細菌のすみか」にとどまらず、もっと高次なものであるとすると、乳酸菌を飲めば良いといった単純な話しでは済まされないような気もします。(以下続く)

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