くちびるの乾燥

わかりやすい漢方講座(48)〜くちびるの乾燥

 冬場は寒さで血行が悪くなるのと、空気も乾燥しており、くちびるが乾燥または荒れやすくなりますが、暖かくなってきても、あるいは一年中くちびるが荒れやすい方を時々お見かけします。

 漢方では、くちびるは「脾」〜西洋医学の脾臓ではなく、胃腸の消化吸収機能全般を指します〜と関連が深いと考えられており、くちびるが荒れやすいのは胃腸に余分な熱がこもっていることが原因と考えられています。

 ただし、「熱」と言っても、漢方では実熱と虚熱といって、熱が強く存在するのか、熱量に見合うだけの潤いが不足しているかの2つのタイプに分けて対応します。

・「実熱」タイプ 
 くちびるの乾燥だけでなく、赤く腫れたりするとともに、のどの渇きが強い、ご飯を食べてもすぐにおなかがへる、口臭、便秘、汗をかきやすいなどの自覚症状を伴います。
 普段から油っこいものや辛いもの、お酒などの摂りすぎで、胃腸に余分な熱がたまってしまう事が原因となります。
 治療方法は、胃腸の余分な熱を便から除くような処方が用いられます。

・「虚熱」タイプ
 簡単に言えば、胃腸の潤いがなくなって、干からびたような状態になることで、くちびるが乾燥するというもので、程度によってはくちびるが赤くなることもありますが、多く見受けられるのはくちびるの乾燥が強く出るというものです。
 普段から胃腸の調子があまりよくなく、くちびるや指先などが乾燥しやすい割には、むくんだり、女性であればおりものが多くなったりします。
 このタイプは女性に多く、もともと胃腸があまり強くないとか、慢性的なストレスによっても生じやすく、胃腸に潤いをあたえるような処方や、ストレスによって滞った「気」の流れを良くするような処方が用いられます。

 尚、いずれのタイプでも西洋医学的な診断〜胃のバリウム検査や内視鏡〜で、胃腸の粘膜などに異常がないことが多いのですが、漢方で重視する胃腸の消化吸収機能や水分代謝機能などに、なんらかの問題を抱えています。また、いずれのタイプでも放置しておくと、食べ物からの栄養吸収がうまくいかなくなり、くちびるの問題だけですまなくなります。

 1年中、リップクリームを手放せないという方は、胃腸の状態を改善する漢方薬を飲んでみることをお勧め致します。

 

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