超加工食品の弊害

夏の免疫力低下

毎年、梅雨から夏にかけて湿度の高くなる日が続きます。もともと日本の年間降水量は世界平均の2倍近くもあり、水資源に恵まれているといえばそうですが、湿度の高い環境は日本人の健康に大きな影響を及ぼしています。

漢方の考え方では、健康に害をなす環境因子である六淫の一つ“湿邪”は、五臓の中でも特に“脾”(=胃腸)の機能を低下させます。更に、暑さから冷たいものを摂る機会も増えて、おなかを冷やすことでも“脾”の機能は低下します。“後天之本”と称される“脾”の機能低下は、食欲がなくなったりするだけでなく、水分代謝異常や免疫力の低下にもつながります。また、汗をかくことも多くなりますが、漢方では汗をかくとからだから水分とともに“気”も漏れ出すと考えられており、“気虚”がすすむことからも免疫力が低下します。

因みに、昨年の2月にEUの保健当局(欧州医薬品庁)は、新型コロナワクチンについて、頻繁なワクチン接種は免疫に悪影響を与える可能性があると警告していますが、世界一ワクチンを打ち続けている日本の現状を考えると、この夏は免疫力の低下に特に注意が必要です。

超加工食品

数年前から欧米で超加工食品が健康に悪影響を与えるという研究が活発に行われるようになりましたが、超加工食品とは、米国糖尿病学会の定義によると「糖分、塩分、脂肪を多く含む加工済みの食品。硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料などの添加物を付与して、工業的過程によって作られる、常温でも保存することができ、日持ちする食品」のことで、日常よく目にする菓子パンやスナック類、カップ麺などを指します。また、常温では保存できませんが、ソーセージやコンビニ弁当なども加工の程度によっては超加工食品とみなされます。アメリカ人の摂取カロリーの半分以上は超加工食品からというデータもありますが、日本でも都会を中心に同じような傾向にあると考えられます。

昨年にはブラジルで1日の総摂取カロリーの20%以上を超加工食品から摂っている人は認知症のリスクが高くなると報告されたほか、米タフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院の研究では、超加工食品を食べ過ぎると大腸がんのリスクが、男性では3割近く上昇するとされています。

超加工食品と感染症に関する研究では、昨年の11月に豪シドニー大学のマウスを使った動物実験で、穀物をベースとした生鮮飼料を与えるグループと、加工度の高いエサを与えるグループに分けて飼育し、その後A型インフルエンザに感染させたところ、生鮮飼料を与えられていたマウスは、感染後、体重の減少や倦怠感を示したものの10日以内に総ての個体が回復しましたが、加工度の高いエサを与えられていたマウスは、感染後の体重の減少と食欲の減退が顕著で、7日目以降に体温低下が著しくなり、14日以内に総ての個体が死亡したそうです。この実験結果に対して、研究者らはウイルス感染に対する免疫反応に差はなかったとし、問題は加工食品の摂取が感染症からの回復を妨げる原因となっている可能性を指摘しています(事後調査では、加工食品の摂取が低体温の原因となって、感染からの回復を阻害した可能性が高いと報告されていますが、詳細なメカニズムについては未解明とのことです)。また、この実験結果を直ちに人間に当てはめることはできないとも指摘されていますが、加工食品の継続的な摂取が感染症からの回復を阻害するという実験結果は、ショッキングなものがあります。

 

いずれにせよ、特に梅雨時から夏場にかけて、発酵食品を積極的に摂ることが重要です。発酵食品には原料の野菜や果物の栄養素が吸収されやすい状態で入っているだけでなく、腸内の善玉菌を活性化して腸管免疫を高める役割も期待できます。また、スペルミジンなどポリアミンとよばれる成分も豊富に含まれており、特にスペルミジンには老化したT細胞を活性化することが報告されています(2022年10月京都大学、本庶佑教授らの研究)。

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