新春の前菜の盛り合わせ



(引き続き、大阪市内の某中華ダイニングのメニューから)

 2月18日は、旧正月でしたが、新春に因んだ写真の前菜の盛り合わせ(3人分ですのでボリューム的にはこじんまりしています)を、中国哲学の根底をなす陰陽五行説から分析してみたいと思います。というのも、このお店はお皿のデザインを見て頂ければ分かりますが、丸いようで五角形のデザインが施されていますし、店名もそれらしき名前でしたので・・・

 まず、新春というか「春」は五行説では「木」であり、新春を迎えるにあたって、この「木」がすくすくと伸びるようにする必要があります。五行説では「木」以外にも「火」「土」「金」「水」という要素を考えますが、木→火→土→金→水(→木)の順番でそれぞれ左側と右側の関係は相生関係にあるとされ、簡単に言えば親子の関係になります。

 これは、「木」が燃えると「火」が生じ、「土」にかえり、「土」の中から「金」が生まれ、「金」の表面には「水」が生じるというような言い方で説明されています。(因みに、暦でも「木(き)」のえ(兄)、「木」のと(弟)、「火(ひ)」のえ、ひのと、つちのえ・・・・みずのとの順番で並んでいます。)さて、今度は一つ飛ばした関係、「木」→「土」、「火」→「金」・・・「金」→「木」、「水」→「火」は相尅関係とよばれ、相手をやっつけるという関係にあるとされています。

 以上の関係から、春=「木」にとっての邪魔者は「金」という事になります。五行説では、「金」は季節で言えば「穀物」などを収穫する「秋」で、味で言えば「辛」、色で言えば「白」となります。よって、「金」を象徴する「穀物」のひとつである豆類を「砕いて」散りばめたり、「白菜」を酢漬けにして絞り上げたものの上に、細く切り刻んだ「辛い」唐辛子を載せたりというのが、五行の中の「金」を痛めつけて、「木」の成長を助けるという意味に取れます(お断りしておきますが、お店の人に聞いたわけではなく、私の解釈です)。

 こじつけだと思われるかも知れませんが、節分の豆まきも同じ事で、「金」=穀物=「豆」を煎って、屋外に投げつけるか、ぼりぼりと食べてしまうというのも同じ理由です(この辺の事情は、吉野裕子氏の著書「陰陽五行と日本の民族」(人文書院)に詳しく書かれていますが、この本によると、桃太郎や金太郎などの童話も五行説から読み解くとよくわかるといったことが書かれています。)

 因みに、五行説では世の中の物を5つに分けて考えますが、「木」は五臓六腑では「肝」、「胆」で、色は「青」で方角は「東」(東の守り神は青龍です)、「風」、「怒」などとなります。漢方では「肝」は自律神経とも関連が深いとされていますので、春になると神経症的な疾患が顕在化しやすく、また「肝」は目ともつながっていますので、目の症状も顕在化しやすくなります。

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