アグー豚のXO醤ソース

Xo (引き続き、東京・過門香さんのメニューより)

 アグー豚とは14世紀に中国から沖縄に伝えられたとされる豚で、コレステロールが少なく、旨味成分のアミノ酸やビタミンB1が一般の豚よりも豊富というもので、鹿児島の黒豚の原種とも言われています。

 日本では奈良時代までに牛などの動物の肉を食べることが禁じられましたが、当時の琉球王国では中国からの使節団を接待するためにも豚肉は欠かせなかったため、豚は飼われていました。現在でも、沖縄ではチラガーてぃびちといった料理がポピュラーで、豚は「鳴き声以外は全部食べる」という中国スタイルが根付いていると思います。

 さて、奈良時代から明治維新までというか、一般の人々が普通に食べるようになったという点では戦後まで、1000年以上何十世代にも渡って日本人は豚や牛の肉を口にしてきませんでした。また、魚にしても今ほど豊富な量を食べていたわけではないので、動物性脂肪の消化吸収や代謝に関して、日本人は遺伝的に苦手であると思われます。欧米人に比べて日本人の胃腸は弱いと言われますが、これは人種的な問題よりも、永年に渡る食習慣の違いによるものだと思います。実際、江戸時代に貝原益軒が「養生訓」の中で、大陸や半島の人に比べても日本人は胃腸が弱いと指摘しています。

 では、現在のように動物性の脂肪を多く摂るようになって半世紀近くになるので、もう慣れたのではないかと思われるかもしれませんが、たかが1世代や2世代で適合できるかというと、難しいような気がします。簡単に言えば日本人は欧米人と同じ食事を摂っても、同じように代謝できないわけで、生活習慣病のリスクが高いとも言えますし、医薬品の世界では常識になりつつある人種間での代謝の違いという概念を食育の中にも導入すべき時期に来ているようにも思います。

 

 

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