食べ物のメリット・デメリットがまるごとわかる本

Photo_4  帯に“クスリにかわる”食べ物・栄養知識が満載の本!とあるように、日常的な食材から調味料まで100種類以上について、そのメリットとデメリットが解説されています。

 とかくマスコミなどでは、「○○を食べると痩せる!」とか「高血圧には○○が良い!」とか、「○○は危険だから食べるな!」とか、一方的な取りあげ方が横行しています(つくずく日本のマスコミの程度の低さを感じます)が、それぞれの食材の身体に良い面と問題となるポイントなどが簡潔に書かれており、現代に於いては公正かつ貴重な本だともいえます。

 もともと、水にしても飲みすぎれば「水中毒」で命にかかわることもありますし、悪者扱いされる食品添加物、例えば防腐剤にしても、その有害性と食中毒の予防などのメリットとの兼ね合いの中で議論されるべきだと思いますが、そうはいかない日本の現状を考えるとメリットとともにデメリットにも注目している点は十分評価できます。

 ただし、著者の医学博士でもある川島昭司氏は南京中医薬大学名誉教授でもあり、食材の効能について漢方的な解説も書かれている部分もありますが、基本的には西洋医学的というか成分の科学的な側面からのメリット、デメリットという捉え方が中心になっています。

 漢方的な考え方から言えば、食材のメリットとデメリットに関して重要なのは、食材その「物」ではなく、それを食べる「人」の体質との兼ね合いが最も重要ですが、そこまで書こうとすると何十巻もの書物になってしまいます。実際に、今から400年ほど前に中国の李時珍がそういった本(「本草綱目」)を書いていますが、全52巻の大著です。

 
(川島昭司著、三笠書房「知的生きかた文庫」、2007年6月) 

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