松鼠桂魚(桂魚の揚げもの) / 漢方的正しい食養生(その3)

 写真は蘇州料理の名菜で、中国三名魚のひとつ桂魚の内臓と骨を除いて皮を下にして身に切れ目を入れ揚げたものに甘酢のあんをかけたものです。

 松鼠というのは中国語でリスのことで、魚の身の形と色がリスに似ていることと、熱々に揚げたところにあんをかけた時にリスの鳴き声のような音がすることから名付けられたそうです。

 桂魚は淡水魚ですが香港などでよく蒸し魚(清蒸)にするハタの仲間で、淡白ながらプリプリした食感があって中国では宴席料理に用いられる高級魚です。

 ちなみに中国三名魚とはこの桂魚のほか鯉とパイユィという魚があげられています。中国はもちろん沿海部では海の魚を食べますが、内陸部を中心に魚料理といえば淡水魚が一般的で数千年も前から淡水魚の養殖が行われていたそうです。

週末トピックス〜漢方的正しい食養生(その3)

 前回、現代日本人は「生冷過食」になりがちで胃腸をはじめ体を冷やしすぎるという事を書きましたが、最近よく耳にする健康法で毎日沢山の水を飲もうというのがあります。

 また寝る前にコップ1杯の水を飲んで寝ると血液がサラサラになるとかいうのもあります。

 漢方の考えでは人間の体を陰陽に分けてそのバランスを重視しますが、簡単に言うと=「血」「水」、=「気」で、陰陽のバランスがとれている状態を健康状態ととらえます。陰虚すなわち体を構成している物質の中で「水」が少ない人は水分を多少は多めに摂られても問題はないですが、陽虚〜簡単に言って冷え性の人が体に良いからと行って水分を過剰に摂取すると確実に健康を害します。

 寝る前にコップ1杯の水を飲むことも睡眠中の血液の粘度を低下させるでしょうが、そのために夜中にトイレに起きているようでは睡眠の質が低下して成長ホルモンの分泌などにも影響を与えかねず、人によってはマイナスです。

 漢方では陰虚の人にしろ血液の流れの悪い人にせよ、単純に水を多く飲むという治療法はございません。体に潤いを与える性質をもっている漢方薬を服用することで陰虚や血流を改善するというのが基本です。

 また、水を沢山飲んで体の老廃物を尿から出すというのも一見良さそうな話しですが、結果的には胃腸が冷やされるだけでなく、腎臓も酷使されることで機能低下をきたすというのが漢方の考え方になります。体に老廃物がたまりやすい人は、腎の働きを良くする漢方薬を服用するというのが無理のない対処法と考えられています。

 最近は水もおいしいだけでなく、活性水素水とか海洋深層水とか様々なものが売られていますが、普段飲んでいる水に代えて飲まれるぶんには良いですが、体に良いからと行って普段の飲食にプラスして沢山飲んだからといって体に良いとは限らないと言う事です。

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