トマトとハチノス(牛の胃)の白酒煮込み




 ハチノスとは牛の4つある胃袋(他の3つは、ミノ、センマイ、ギアラです)の一つですが、これを白酒(パイチュゥ)で煮込んで臭みをとったものとトマトを合わせて煮込んだ料理です。また、薬味としては香菜やニンニクの刻んだものが使われています。(イタリアンにも同じような料理がありますが、白酒ではなくハーブが用いられます)

 中国の白酒は、日本でも有名な茅台酒や五糧液などが代表的なブランドですが、米、コーリャン、トウモロコシなどを原料に造られる蒸留酒で、アルコール度数も高いものは60度くらいになります。また、日本の焼酎に比べて、香りが強いのが特徴です。

 ところで、お酒も香り(芳香)も、共に「気」を巡らせる作用があり、リラックスと言うことを考えると香りが強い方が良い訳ですが、日本ではあまり強い香りのお酒は好まれません。これは、日本食の繊細さに合わないためとも言えますが、日本食が繊細なのは日本人の胃腸が弱いからだとも言えます。

 さて、なぜ日本人は胃腸が弱いのかというと、漢方的に言いますと梅雨時に限らず年中、湿気が高いからです。漢方では「脾は湿をいむ」という理論があって、湿気は内臓の中で特に胃腸機能を低下させます。(普段、胃腸が丈夫という方でも梅雨時になると食欲が低下したりするのも同じ理由です)

 よって、伝統的に和食は胃腸にやさしい訳ですが、日本酒などもそれに合わせて、香りの強くないものが好まれるようになったと思います。また、アルコール度数に関しても、江戸時代の日本酒は今の日本酒の半分くらいの度数しかなかったという説もあります。

 話しを写真の料理に戻すと、ハチノスは低脂肪、高タンパクで、薬膳的効能としても胃腸の機能を良くしてくれる作用があります。

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