貝柱の蒸しもの

1002  生の貝柱を蒸してから、醤油ベースのたれを掛け、白ネギを載せた上から熱した油をふりかけ、ネギの香りを引き出しています。

  このように、ゴマ油や辣油、ネギ油、鶏油など、調味料としての油の多彩な使い方は中国料理の特徴の一つです。また調味以外でも、スープや煮物に浮いた油は、保温と食材の酸化防止効果があると言われています。

 さて、こういった油を多用する食文化は、メタボが気になる現代人からはカロリーが気になると言われそうですが、優れた点が一つあります。それは、油を使った料理は冷めてしまうとおいしくない事から、「料理=温かいもの」という構図が出来上がり、冷たいものを口にすることに生理的な嫌悪感を覚えると言うことです。

 反対に言うと、油をあまり使わない伝統的な和食は、冷めても食べられるものが多く、その結果、冷たいものを口にすることに抵抗感がなくなり、現代の日本人の食生活は世界に例を見ないほど冷たいものを平気で口にするようになりました。結果、胃腸が冷やされ、花粉症などのアレルギー疾患や多くの疾病の要因となっています。

 勿論、昔から日本人は冷めたものでも平気で口にしてきたわけですが、おなかを冷やしてはいけないという養生の原則を知っていましたから、おろし生姜や熱いお茶、みそ汁などをうまく利用して、おなかを冷やしっぱなしにすることは極力避けていました。ところが、現代日本人は、冷めたものでも平気で食べるという部分だけを引き継いだものの、昔の人の知恵の部分が完全に忘れ去られ、更に悪いことに冷蔵庫の普及などもあいまって、とことんおなかを冷やしているのが現実です。

 

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