人参/五臓六腑〜「脾」

 


 人参は生薬の中でも、最も有名なもののひとつです。人参の効能としては「補気固脱」「生津止渇」「安神益智」など様々な薬効が言われていますが、一言で言うと「脾」の「気」と「肺」の「気」を補う「大補元気」ということになります。

 人参は、言うまでもなく漢方の要薬ですが、薬膳料理では、やはり体力を補う鶏のスープなどに入れられたりします。

 

週末topics〜五臓六腑について(その3:「脾」)

(3)「脾」について

 漢方で言う「脾」とは、西洋医学の脾臓とは違って、主に消化器系全般の消化吸収機能、栄養代謝機能を担う重要なところで、「後天の本」とも呼ばれています。

具体的には、

・食物を消化し、体に必要な栄養を取り出して、全身に運ぶ

・血管を保護して出血をおさえる

・栄養を肌肉や四肢に与えることで、それらの働きを円滑にする

などの機能を担っています。また、免疫機能にも重要なかかわりを持つとされています。

臨床上では

・胃腸障害・食欲不振などの胃腸症状

・貧血・めまい・冷え性・糖尿病などの栄養障害

・不正出血などの出血性疾患

などと関連が深く、免疫の問題から花粉症やアトピーなどにも関連性があります。

また、「脾」は六腑の「胃」と裏表の関係にあって、互いに影響を与えやすいことから、臨床上はセットで「脾胃」という言い方で、胃腸機能全般のことを指すことが多いですが、漢方ではあくまで機能面を重視しますので、胃の粘膜に異常がないからといって脾胃が十分に機能しているとは限りません

更に、「脾」は季節で言えば季節の変わり目(土用)にあたることから、季節の変わり目になると体調を崩すという方は「脾」に問題があることが多いです。

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