漢方的に見た遺伝子組換え食品

 放射能汚染の問題に隠れて最近はあまり話題に上りませんが、遺伝子組換え作物を漢方的に考えてみたいと思います。

 そもそも遺伝子組換えの目的は、特定の除草剤に耐性をもつとか、害虫などに抵抗性を持たせ作物の収穫量を増やすことです。これまでにも遺伝子操作はしないものの交配により優れた特性を持った品種~ハイブリッド品種、F1種など~は多くの種類が出回っていますが、遺伝子組換えにより、これまで全く自然界に存在しなかったものを口に入れることに対して安全性や環境へ与える影響について危惧されています。

 推進派の方々は、安全性についてはアレルギーなどの試験を済ませており問題なしとしており、栄養面に関しても特定の栄養素を多く作り出すようなものまであって、少なくとも遺伝子組換えでないものよりも劣ることはないようです。このため世界的に大豆やトウモロコシをはじめ遺伝子組換え作物は増加しているようです。

 現代栄養学では食品は栄養素の集合体のように捉えますので、中に含まれる栄養素に異質なものがなければ、問題なしとなりますが、漢方的に考えた場合、人間は食品から生命活動に必要な気、血、津液(水)、精といったものを取り込むことで生きているとされており、この考え方からすると遺伝子組換え食品には決定的な問題点があると言わざるを得ません。

 それは、遺伝子組換えやハイブリッド種といった植物が在来品種と違って、種が殆どとれないか、とれたとしても同じような特性を持たないものしか育たないということです。言葉をかえれば生殖能力が著しく劣るわけで(というか、種子ビジネスの利益を追求する観点からわざとそうしているわけで)、これらの食品には生殖能力の原動力となるべき精という物質が欠落しているか極めて僅かしか含まれていないと考えられます。

 フランス料理で冬の寒い時期に野生の動物を料理して食べるのをジビエとかジビエ料理と言います。これは生命力あふれる野生の動物を食べることで厳しい冬を乗り越えようとするものですが、遺伝子組換え食品は全く逆のものです。

 ですから、こういった食品を食べることは人間の成長、生殖、老化に直接関わる精という物質の減少につながり、すぐには影響は現れないかもしれませんが、人間の生命力そのものが徐々に弱まっていくと考えられます。

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