花粉症

わかりやすい漢方講座(その31)~花粉症

 今年もそろそろ花粉症の季節がやってきました。以前は、花粉症といえば、くしゃみと鼻水が主な症状でしたが、最近では、目の痒みや、のどや目の周りの粘膜や皮膚が赤く腫れたり、鼻水よりも鼻づまりを訴える方が増えてきているような気がします。

 症状が多様化するにつれ、用いられる漢方処方も様々ですが、花粉症の方に共通しているのは皮膚や粘膜を防御する働きがある「衛気(えき)」と呼ばれる「気」のエネルギーが機能をはたしていないと言うことです。この衛気の機能低下は、大きく分けると衛気が不足しているケースと、衛気の量に問題はないものの、流れが停滞しているケースが考えられます。

 いずれにせよ、目には見えない衛気というバリア機能の低下が、花粉という一般的には人体に害を及ぼさないものが影響して症状が発生するというのが漢方の考え方です。また、こういった衛気が十分に機能を発揮していない方は、花粉症だけでなく、かぜをひきやすい、じんましんが出やすい、汗をかきやすい、肌荒れを起こしやすいという傾向が見られます。

 さて、この衛気の不足している方の体の中はどうなっているかというと、確実に言えることは胃腸の機能が低下していると言うことです。普段から食欲がない、または食欲はあるが血の気が少ない、食後に眠たくなる、どうかするとお腹をこわしやすいという自覚症状を伴います。また、花粉症の症状としては鼻水など鼻炎の症状が主で、新薬の抗アレルギー剤を服用することで花粉症の症状はおさまりますが、眠気などの副作用が強く出やすいという傾向が見られます。また、抗アレルギー剤の副作用でのどが渇きやすくなりますが、水分を多く摂りすぎることで、更に体質が悪化しやすいので注意が必要です。また、飲食物は出来るだけ温かいものを摂るように心がけて、胃腸を冷やさないことが重要です。薬膳的には、紫蘇などがお勧めです。

 次に、衛気の流れが停滞しているタイプの方は、花粉症の症状としては鼻づまりや目の痒みが強く出やすい傾向にあり、新薬の抗アレルギー剤を服用することで、鼻の症状は比較的楽になりますが、副作用として目が乾燥しがちになって痒みがとれにくいという傾向が見られます。このタイプの方は、飲酒や唐辛子など辛いものを摂ると症状が悪化しやすくなりますが、薬膳的にはハッカやミント類を積極的に摂ると良いです。

 花粉症の方は、鼻や目といった局所に症状がでるだけで、症状さえ消えればそれで良いと考えがちですが、漢方的に見た場合は、五臓六腑の多くの部分がバランスを欠いた状態(体質)になっています。よって、花粉症はあくまで、そのひとつの症状に過ぎず、漢方で体質改善していけば花粉症のみならず、様々な症状も改善していきます。

 因みに花粉症に対しては、鼻水や目の痒みなど同じ症状でも、その方の体質によって用いられる漢方処方は違ってきますし、急性期に用いられる処方と体質改善に用いられる処方も違ってきます(新薬のように、単純ではないということです)。

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