かぜと発熱

わかりやすい漢方講座(その19)~かぜと発熱

 前回は、葛根湯を取りあげましたが、これから冬にかけて「かぜ」がはやるシーズンですので、漢方的に見た「かぜ」と発熱について説明します。

 まず、「かぜ」をひいて熱が出たときに、「熱があるから病気である」→「熱を下げれば病気は治る」→「解熱剤や風邪薬を飲む」→「熱が下がって、かぜが治る」と思いこんでおられる方が多いと思います。

 しかし「かぜ」に於ける発熱状態の時には、よっぽどの高熱でない限り、解熱剤などで熱を下げない方が、「かぜ」は早く治ることが西洋医学的にも確かめられています。

 簡単にいうと、発熱すると言うことは、かぜに対して体が抵抗しているという現れであり、この時に新薬などで無理に熱を下げると、症状は楽になっても、かぜのウイルスなどをやっつけるのに余計に時間がかかってしまうと言うことです。

 漢方的な観点から見れば、「かぜ」のひき始めなどで、体温計で測っていくら熱があるからといって、普通は葛根湯や参蘇飲(じんそいん)など、体を温める作用のある処方を用いるのが基本です。もちろん、そういったときは、食事もできるだけ消化の良い温かいものを食べる必要があります。

 そうやって、体を温めて、体の表面に張り付いた「邪」を汗と共に追い払うというのが、漢方に於けるかぜの治療法の原則です。もっとも、インフルエンザのように急な高熱やのどの炎症が見られるときは、銀翹散(ぎんぎょうさん)や天津感冒片などのように辛涼解表剤とよばれる、やや体の熱を冷ます作用のある処方を用いるケースもありますが、初期(ひき始め)に限っては、やはり体を温める処方で対応します。

 もっと別の角度から見た場合、「かぜ」を西洋医学的には急性上気道炎と言いますが、これは上気道が炎症を起こして、痰や鼻水など「水」の分泌が増えるという症状を指しています。

 ところで、何げなくしている呼吸ですが、実は、人体は鼻から吸った空気が気道を通って肺に到達するまでの間に、その空気の温度を体温まで上昇させると共に、湿度も100%近くまでの状態にしています。ところが、冬になって気温が低下し、空気が乾燥してくると、この吸った空気を加温・加湿することができなくなって、気道に炎症を発生させて、より温度を上げようとすると共に、水分の分泌量も増やせという指令が出て、痰が出たりしやすくなると言われており、結果的に「かぜ」の症状があらわれるとされています。

 この理屈から言っても、かぜの症状が表れ始めたときには、体を温める方が良いといえます。いずれにしても、「熱があるから病気」なのではなくて「病気だから熱がある」という認識を持つべきで、「かぜ」の場合に於いても、解熱剤で熱を下げることは治療ではなく、あくまで対症療法に過ぎないと言う事です。また、寒けがして「かぜ」かなと思った時、手元に漢方薬などがなければ、熱いみそ汁に白ネギやショウガをたっぷり入れて飲むだけでも、それなりの効果は期待できます。

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