点心3種盛り

101227  上海蟹コースの中の一品で、サトイモと上海蟹のカニミソ入りの春巻き、同じく上海蟹のカニミソ入りの小籠包、豆苗の蒸し餃子の組み合わせです。

 さて、今週は節分をひかえて、海苔業界は恵方巻のPRに余念がないですが、中国で旧正月(=暦の上での立春ではないですが、今回は、2月3日が旧暦の正月朔日となっています)といえば、春巻きがつきものです(春巻きの“春”は、新春の春です)。

  さて、その春巻きの中身であるサトイモは、山でとれる山芋(ヤマイモ)に対して里で採れる芋という意味で、日本でも縄文時代から栽培され、米の栽培が始まる前は主食的な地位を占めていたとされています。もともと穀物や芋類はデンプン質が豊富ですが、別名糖質とも称されるデンプンは、消化されていくと最後はブドウ糖になって身体のエネルギー源になるとされ、別の角度からは脳が利用できる唯一のエネルギー源もブドウ糖で、だからこそ主食とされるわけです。

 栄養学的な話は別にして、薬膳的な観点からは、サトイモにしろ米にしろ、胃腸の働きを良くする作用があるとされています。と言うことは、主食とされる米などを毎日摂っていると、胃腸の機能~食べものの消化、吸収、排泄がスムーズに行われやすくなる訳で、反対に、米や芋類を食べないと胃腸機能が低下しやすくなると言えます。漢方では「脾(=胃腸機能のこと)は後天の本」と言って、胃腸機能がしっかりしていることが健康の基本とされていますので、穀物や芋類が主食として栽培され続けてきたと考えられます。

 ところが、日本の現状をみてみると、主食である米の一人あたりの消費量は減りに減って、戦前の半分程度になっているそうです。米を食べなくなった代わりにパン食、即ち小麦の消費が増えたと思っている方が多いのですが、意外なことにパンや麺類の原料となる小麦の消費量は殆ど変わっておらず、戦後、急激に増えた食べものは肉と油脂類です。

 薬膳的にみた場合、言うまでもないことですが、肉や油脂類に胃腸の機能を良くする作用は期待できないばかりか、平安時代以降何十世代にもわたって肉食の経験が殆どなかった日本人にとって胃腸には負担となります。

 花粉症をはじめアレルギー疾患の増大や低体温の人が増えている背景には漢方でいう脾虚、即ち胃腸機能低下が大きく影響しており、その原因としては環境面、精神的ストレス、食品添加物や農薬の問題、野菜などのミネラルやビタミンの含有量の低下、冷たいものを年中とるようになったことなど、いくつもの要因が考えられますが、主食である米の栄養面以外の大事な役割を忘れてしまったことも大きいと思います。

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