「水」について

わかりやすい漢方講座(その28)~「水」について

 今月半ば、カリフォルニア州の地元ラジオ局が主催した「水飲みコンテスト」で、2位に入賞した28歳の女性が、コンテスト終了後、体の不調を訴え、5時間後に自宅で死亡しているのが発見されたというニュースがありました。

 ロイター電では、この女性が飲んだ水の量は6.5リットルとの事でしたが、その後CNNなどの報道では2.8リットルとなっています。この女性の死因は、水中毒であろうと言われていますが、詳しいことは調査中とのことです。

 日本でもここ数年、世界中のミネラルウォーターや国内各地の銘水が売られるようになり、怪しげな水飲み健康法なるものまでブームになっていましたが、ついにここまできたかという感じです。

 「水」は人間の生活に欠かせないものですし、それ自体は無害なものです。しかし、物質的に無害だからと言って、過剰摂取は健康を害します。

 漢方的な目から見ますと、同じ水でも、まずその温度によって体に与える影響が違ってきます。栄養素などの物質面ばかりを重視する現代栄養学では見過ごされがちですが、同じ物を食べたり飲んだりしても、温かいか冷たいかによって人体の受ける影響は違ってきます。

 人間が生きていく上で、水分も食べ物に含まれる栄養素も胃腸がちゃんと働かなければ人体に吸収されません。殆どの人は意識していないと思いますが、その胃腸がちゃんと働くためにはエネルギーが必要です。このエネルギーは言葉を換えると、熱エネルギーであり、漢方的には「気」のエネルギーです。

 つまり、同じ水でも冷たい水は、この胃腸のエネルギーを低下させるわけです。冷たいものを飲み過ぎると、おなかが「こわれ」て、栄養素などが吸収されないまま排泄されてしまいます。また、いくら温かい水を飲んだとしても、これらの水分が汗や尿として排泄されるまでの間、体温で保温しておかなければならないので、結果的に体から熱エネルギーが奪われることになります。

 結果的には、ほどほどにという事ですが、少なくとも、若い人で熱エネルギーが余っているというような人でなければ、温かい状態で水分を補給する方が体には良いと言えます。

 人類の長い歴史の中で、現代の日本人ほど日常生活で冷たい水分を摂取している民族は存在しなかったと思います。また、この事が体質面から見た場合、花粉症の大きな原因になっているばかりか、ノロウイルスの流行やインフルエンザの流行とも関連しています。

 因みに、漢方的な診断で「陰虚」とか「津液不足(しんえきぶそく)」と呼ばれるような、簡単に言えば「水分」の不足状態の人でも、「水」を飲めば体に必要な水分が補充されるのかというと、そうではなく、体に必要な潤いを増やす作用のある漢方薬を服用することで津液(しんえき)を徐々に増やしていくという方法をとります。

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