舌痛症について

わかりやすい漢方講座(47)〜舌痛症について

 最近増えているといわれる舌痛症ですが、見た目に炎症などがなく、入れ歯など物理的な影響もないにもかかわらず舌が痛むというものです。西洋医学的にもはっきりとした原因がわかってはいませんが、ストレスが関与しているといわれています。

 漢方では、舌は五臓のいずれとも関わりが深く、それらに熱がこもることで舌の痛みが発生するパターンと、過労などが原因で体内の陰陽のバランスを崩して発生するパターンが考えられます。

 前者のパターンでは、特に舌は五臓の中でも「心」と関連が深いことから「心」=「こころ」で、精神的ストレスが積み重なって発生するか、あぶら濃いものや唐辛子などの辛いもの、お酒などの影響で胃腸や肝臓に余分な熱がこもる事で発生します。

 後者のパターンでは、特に不眠を伴ったり、夜更かしや夜間に働くという人に多く見られますが、口の中が乾燥したり、精神的に落ち着きがなくなったりといった自覚症状を伴います。

 いずれにせよ、体内で発生した余分な「火」が舌に集まり、痛みを発生させると考えられており、「火」の発生源の違いにより用いられる処方は違います。

 ところで、発生学的に見た場合、舌は心臓(心筋)と密接な関係があるそうで、漢方理論の「心は舌に開竅する」=「舌は特に心臓の状態を反映しやすい」といわれていることが裏付けられているような気がします。

 (五臓六腑の「心」に関しては、五臓六腑〜「心」を参照して下さい)

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