アトピー性皮膚炎の「アトピー」とは、ギリシャ語の「奇妙な」という意味の単語に由来し、もともと訳がわからない病気ということから名付けられたものです。
漢方の世界でも、歴代の医学書に僅かながらそれらしき疾患が載っている(1665年の「外科大成」という書物に「四彎風」という病名で載っています)ものの、近年に至るまでそれほど多くはなかった疾患の一つです。ところが、近年になって中国に於いてもアトピー性皮膚炎の患者数が増加し、「異位性皮膚炎」という病名で研究が進んでいます。
さて、それでは漢方の立場からアトピー性皮膚炎をどのように解釈しているかと言いますと、
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遺伝的に体質が虚弱である
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特に胃腸の機能が弱い
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胃腸の機能低下により体内に余分な湿気や熱が発生する(この湿気や熱が「湿疹」や皮膚の「炎症」の原因)
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皮膚のバリア機能の低下から外界からの刺激に過剰に反応してしまう
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というパターンで発症すると考えられています。
以前は、このような経過でアトピー性皮膚炎になったとしても、成長するにしたがって胃腸機能を始め、五臓六腑とよばれる内臓機能が完成されて行くにつれて自然と症状が緩解または治っていくことが多かった(小児特有の疾患の一つに数えられていた)のですが、近年に至っては、成人してからも症状が治らないばかりか、悪化するという傾向が見られます。
この原因として、外的な環境としては大気汚染や化学物質、電磁波などの蔓延、内的には社会的なストレス(アトピー性皮膚炎に関しては特に、痒いことや顔面部などの湿疹そのものがストレスになる)の増大、または食生活の乱れなどの要因が挙げられます。
いずれにせよ、本来は小児期に発症しても胃腸を中心として体が出来上がって行くにつれ治っていたものが、成長と共に更なる胃腸機能低下をきたし症状が更に悪化してしまう、または、成人してから胃腸機能の低下などから新たに発症してしまうというのが現代に於けるアトピー性皮膚炎の特徴です。
よって、アトピー性皮膚炎の治療に関しては特に胃腸機能の回復に重点を置くと共に、炎症が発生している場合は、その炎症により更に皮膚の乾燥や「血」の消耗が進むため、炎症や痒みに対する対症療法を組み合わせて治療していく事になります。
ただし、アトピー性皮膚炎の場合は一時的に胃腸の機能が低下しているのではなく、根本的に胃腸機能が損傷を受けている状態であり、胃腸機能の立て直しには相当の時間がかかります。また、それゆえ日常の食生活などにも細心の注意が必要となります。食養生に関しては「胃腸機能に悪影響を与える飲食物」を参考にしてください。(尚、軽症のアトピー性皮膚炎では、牛乳を2〜3ヶ月止めるだけでも症状が出なくなることもあります)
具体的なアトピー性皮膚炎の治療に於いては、初期では主に余分な「湿」による湿疹の改善と胃腸機能の強化に重点をおいて、亜急性期から慢性記の治療に於いては「熱」(炎症)の状態を見ながら、「血」の損傷からの乾燥状態の改善などに重点を置いた治療が必要となってきます。
A:湿潤型
ひじやひざの内側、頭部、顔面、首にじゅくじゅくした丘疹ができるタイプで、アトピー性皮膚炎の初期によく見られます。
身体的な特徴としては、体が重だるい、胃腸の調子が悪い、便がすっきり出ないなどの症状を伴います。
B:乾燥型
主に亜急性期から慢性期においてよく見られ、「湿」の停滞や炎症により、体内の「血」や「水」が消耗していくことから、皮膚に栄養と潤いが伝わらなくなって乾燥が強くなっているタイプです。細かく分類していくと、さらに以下のようなタイプに分けられます。
1)血虚生風タイプ
皮膚の状態がヤスリ状になったり、患部を掻くと皮膚の白くてこ細かい粉が落ちる。痒みは、昼間よりも夜間に強くなる。また、掻くと、ところどころ赤い線(血線)が出来る。患部を掻いても、殆ど浸出液は出ない。
2)血虚燥熱タイプ
皮膚に弾力が無く、硬く(分厚く)なっている。患部を掻かなくても、白い粉状の皮膚がはがれ落ちる。痒みに関しては、昼夜を問わず強い。体に熱感がある。患部の皮膚は熱を持ち、淡褐色〜黒っぽい色素の沈着が見られる。
3)血熱燥風タイプ
患部が真っ赤になっており、激しい痒みを伴う。また、掻くとすぐに出血してしまう。ひどくなると髪の毛や眉毛が抜け落ちる。
4)陰虚火旺タイプ
3)の血熱燥風タイプが進行することで生じる。皮膚の状態などはAの血虚燥熱タイプに似ているが、症状の程度は重い。
5)精虚燥風タイプ
炎症(熱)の影響で、「血」や「水」が枯れてしまったような状態で、赤味も痒みも強くない。皮膚自体も萎縮してしまって薄くなる。また、皮脂腺の分泌も低下してうぶ毛なども消失し、銀色がかった大きな落屑がある。皮膚が肥厚し淡黒色〜黒色の色素沈着が見られ、掻けばすぐに出血する。
以上の他にも、皮膚患部の乾燥と手足の冷えなどを伴う「血虚生寒」タイプなどもありますが、慢性化したアトピー性皮膚炎の治療には相当の日数がかかります。
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・温清飲(うんせいいん) ・衛益顆粒(えいえきかりゅう) ・黄連阿膠湯(おうれんあきょうとう) ・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
・瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)
・当帰飲子(とうきいんし)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
・涼血清営顆粒(りょうけつせいえいかりゅう)
・六味丸(ろくみがん)
など
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・紫雲膏(しうんこう) ・タイツ膏 ・瑞花露(すいかろ)
・アレッポの石鹸
・ダイアフラジン軟膏 ・サメミロンエース
など
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