漢方薬(生薬)と一口に言っても、植物性、動物性、鉱物性など様々なものがあって、現在使われているものは千種類以上にも及びます。
その中でも特に「高貴薬」と呼ばれている一握りの生薬がありますが、この「高貴薬」というのは単に価格が高いというだけでなく、希少性があり、それゆえ高価であるわけですが、1000年から2000年以上の長きにわたって、それに代わるものが見つからないほどのすばらしい効き目があるから、今日なお使われているというのが高貴薬です。
そうした高貴薬について、古くは2000年近くも前に書かれた書物の内容から、今日に於ける応用などについて考察しました。
(このコーナーは、いくつかの代表的な高貴薬について、心臓薬で有名な「救心」さんの薬局向けの情報誌「はあと通信」に平成16年4月から毎月連載している原稿をもとにしています。)
今から約2000年前に書かれた、現存する最古の本草書(生薬について記された書物)である「神農本草経」に既に記載されているジャコウジカのオスの袋状腺嚢の分泌物です。香りが強く、香道などでも用いられるほか、ヨーロッパに於いても香水の原料(MUSK)にされてきました。
もともと希少性の高い生薬でしたが、現在では動物保護の為のワシントン条約によって、日本への輸入なども制限されており、将来的には使用することが出来なくなる可能性もあります。
→麝香(じゃこう)について詳しく
やはり「神農本草経」に収載されている生薬で、マンシュウジカなどの骨化していない角です。古来、滋養強壮の目的に使用されてきましたが、その薬効の本質は、生命エネルギーの根源物質とでも言うべき「精」という物質を生じさせる事が出来るというものです。
漢方の考え方では「精」という物質は、不老長寿と子孫繁栄には欠かせないもので、古来より皇帝などの権力者に宮廷処方の要薬として好んで用いられてきました。
→鹿茸(ろくじょう)について詳しく
ウシの胆石である牛黄も、「神農本草経」に収載されている生薬で、太陽と月の光がウシの2本の角から入って形成されると考えられていたほど神聖な効能があるとされてきました。
現在でもウシ10万頭当たり1kgも採れないほど、希少性が高い生薬ですが、中国では脳溢血や熱病、炎症性疾患に欠かすことの出来ない生薬として、政府系の機関が一定量の備蓄をしているくらいです。
→牛黄(ごおう)について詳しく

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