インフルエンザやヘルペスといった疾患が増える季節ですが、漢方的にこれらの疾患を予防するにはどうすればよいかという事についてご紹介いたします。
まず始めに、漢方では我々の体の皮膚や粘膜といった外界に直接接触する部分は目には見えない「衛気(えき)」と呼ばれる「気」によって守られていると考えられています。鼻の粘膜や口の中、胃や腸の粘膜、皮膚の面積は広げるとテニスコート1面半くらいの大きさになると言われていますが、これらの表面をウイルスなどから防「衛」しているのが「衛気」です。「ウイルスが原因で」発症するといっても、インフルエンザウイルスに接触すると誰もが発症するわけではなく、「衛気」がしっかりしている人は発症しないと考えられています。
実際、かなりの痛みを伴うヘルペスの原因となるウイルス(ヘルペスウイルス)にしても日本人の成人の半数以上は体に持っているといわれています(常在菌)。ただヘルペスウイルス自体は非常に弱いウイルスであるため、健康な人であればウイルスが増殖できないので発症しないだけです。同様に、職場で一人がインフルエンザにかかってもうつる、うつらないというのはその人の「衛気」の強さに左右されるわけです。ウイルス以外でも、花粉症も同様の考え方で「衛気」の弱い人が花粉の刺激に過剰に反応して鼻水などが出るというのが漢方的な考え方になります。
それでは、この「衛気」を強くするにはどうすればよいかというと、漢方では「気」の生成は「肺」「脾(胃腸)」「腎」の3つが関わっているとされていますが、生まれもって体が弱いとか肺の病気をもっているとかでなければ、「脾」(胃腸)が「気」の生成に最も関与しており、胃腸のコンディションを健康に保つことが最も重要になってきます。
特に、冷たいものや生ものなどを摂りすぎると胃腸が冷やされ、むくみや貧血の原因になるだけでなく、「衛気」不足になって風邪をひきやすくなったり、花粉症の原因にもなります(花粉症についてはまたの機会に詳しく解説しますが、基本的には胃腸にだぶついた水(水飲)が花粉の刺激で鼻から溢れてくるという事です)。また唐辛子などの刺激物やお酒の過量摂取、ストレスなども胃腸機能を低下させますが、たとえ健康診断で胃の粘膜に異常がないと言われていても、あくまで胃腸の「機能」が低下するという事が「衛気」の不足や免疫力の低下にもつながるというのが漢方の教えです。
漢方薬としてはこの「衛気」を強める生薬としては黄耆(オウギ)が最も有名で、この黄耆を主成分にした玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という処方が風邪やインフルエンザ、花粉症の予防に用いられます。(もちろん、普段から胃腸の調子が悪い人は、胃腸の調子を整えることも重要です)
また、中国では手軽なインフルエンザ対策として用いられているのが板藍根(ばんらんこん)です。板藍根はアブラナ科のホソバタイセイなどの根で、抗菌作用と抗ウイルス作用に優れ、またのどの炎症を抑えたり、解熱作用もあります。風邪がはやりそうな時には、この板藍根を煎じたお茶を飲んだり、うがいをすることで予防し、風邪をひいてしまった人はのどの痛みや炎症を抑える目的で使われます。冬になると中国の食品売り場などに袋に入った板藍根のエキス顆粒などが山積みにされるほどですが、数年前から日本でも食品として板藍根の飴やエキス顆粒状のものが販売されるようになりました。
風邪に関してはblogの健康topicsコーナーを参考にして下さい。
★「青い風邪」と「赤い風邪」
★かぜについて
★粘膜の乾燥をともなうかぜ
★下痢を伴うかぜ
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・衛益顆粒(えいえきかりゅう)
・板藍茶(ばんらんちゃ)
など
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